7編の短編集。
その中の『山羊座の友人』のラスト7行が読みたくて何度も図書館で借りている。
もちろん他の6編も良作、今回読み返してみたら『宗像くんと万年筆事件』がほのぼのとして良かった。
ネタバレあります、たぶん、、、
目次
あらすじ
前回レビューした漫画『とめはねっ!』であらすじを書いたものの、
Wikiのあらすじを読んで自分の至らなさにがっかりした。
あらすじに頭をひねって時間をかけるのも大変だが、「あらすじはウィキペディアをお読みください」
というのも芸がないので、6行(PC上)で『山羊座の友人』のあらすじを書いてみる。レッツゴー!⬇︎
松田ユウヤの家は丘の上にあり、風の通り道にあるせいでベランダにはときどき落ち葉以外のおかしなものがひっかかる。ある8月の朝、10月2日の新聞の切れ端がひっかかっており、そこには地元での高校生死亡事件と、参考人の高校生の自殺の事が書かれていた。9月25日の深夜、コンビニに外出したユウヤは血だらけのバットを持って歩く同級生の若槻ナオトを目撃する。新聞記事の内容が気になって自室にナオトを匿うユウヤ。隣人にナオトを見られた事を機に2人は東京に逃亡する。しかし徐々にナオトが真犯人ではないことが分かってきて、、、
詳しいあらすじは、ウィキペディアをお読みください
ジロさん
感想
いきなり本編とはあまり関係のない話、なおかつオジさんの自分語りで恐縮だが、
工業系の学校(高専)の寮で10代後半の5年間を過ごした自分には、共学高校に対する憧れがある。
今では母校も1/4が女子生徒になったみたいだが(!)、当時は生徒約800人中、女子は20人くらいだった。
結果、彼女いないまま5年間過ごすことに、、、
文化祭や寮祭で彼女ができる奴もいたし、4人と文通して休日はデートに忙しいルームメイトもいたから、
結局は自分次第なんですが、、、
そういうわけで、教室や部活で同級生女子と話したり、一緒に下校するような漫画・小説を見ると、
妬まし羨ましくて、逆に採点が甘くなってしまいます。
ほとんどの主人公はあからさまか密かにモテる、たいていモテる。
実は自分にも中学生の時にモテ期があったが(中坊は背が高くて成績よければ多少はモテますよね、、、)
当時の自分は「男女交際なんてまだまだ自分には早い」と思っていた。
2度目のモテ期がまだ到来しない今、当時の自分に会えたら、思い切り
うつなつ
そんなこと言ってる場合か!
とツッコんでやりたい(笑)。
さておき、
8編には4人の作者と、1人の解説者の名前が書かれているが、全て乙一さん本人らしい。
相変わらずの強速球から打たせて取るまでの多才ぶり、ホームラン打者も兼ねた二刀流かもしれない。
でも時々ダークな危険球が混じってる、この本の他の数編もなかなか怖い。
『山羊座の友人』も、未来の新聞が届いたり、ヤギが山手線に乗り込んだりと、
ファンタジーでもあるんだけど、その他の部分は悲しいほどに現実的だ。
主人公は若槻ナオトを助けた結果、クラスメートの本庄ノゾミを追い詰めなければならなくなってしまう。
結果的には悲劇で終わったのかもしれないが、おだやかな終わり方だ。
そして最後の教室のシーンに自分がいたと想像(妄想)すると、
切ないような、泣きたいような、忘れられないラストシーンだ。
実は漫画化もされてて読んだけど、この作品はやっぱり自分は活字の方が良かった。
最後も余談だけど、『山羊座の友人』は初出が2011年。
ガラケーがトリックに使われるけど、「いやもうスマホが主流では?」と思い、
調べたら2011年の個人のスマホ普及率は、14.6%だった!
その後の普及率恐るべし!